2014年2月9日日曜日

幻の歌姫、イマ・スマック

先日、ハワイのアラン灰田さんから、イマ・スマック:伝説、太陽の処女(Yma Sumac: “Legend of the Sun Virgin”)』を贈っていただき唖然とした。今は、すっかり忘れ去っていたイマ・スマックの名が、鮮明な記憶として蘇ってきたからである。

イマ・スマック;1922〜2008
1950年代の半ば、彗星の如く現れたイマ・スマックの独特な美声は、主にラジオを通して忽ち一世を風靡した。何が独特だったかというと、その音域の広さが人並み外れていたからである。彼女の歌声は、バリトン的な低音からソプラノ的高音まで4オクターブ半から、時には5オクターブにも及んだ。

更に、イマ・スマックを神秘的にしていたのは、インカ女王の後裔という噂を背景にしていたことである。大昔に滅亡したインカ、それも王族の後裔となるといささか真偽を疑いたくなるが、彼女の美貌とカリスマ性からはそれなりの気品さえ感じられ、お姫様の真偽はともかく、世界の視聴者を熱狂させるに充分な人気を獲得した。

彗星の如く現れ、彗星の如く消え去ったイマ・スマックの歌声を60年振りで耳にし感慨を新たにした。彼女の存在をご存知ない方々にも是非観賞していただきたい。(下掲『伝説、太陽の処女』は30分近くの長編だが、他の短い曲もYouTubeに用意されているからお愉しみください。)

1 件のコメント:

  1. 信じられないほど高い文化を築き上げていたインカ王国が滅亡したのは、荒々しい外敵の侵略によるものだという以外、未だに謎を秘めています。イマ・スマックの国籍はペルー人というのが真相のようですが、生き残った先祖がペルーに逃れた、という説もあります。謎は謎のまま神秘的にしておいた方が伝説になるような気がします。

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