スチュアート・エリオット(Stuart Elliott)報告
2013年9月29日付け、NYタイムズ紙より抜粋
今年のブランド名価値評価の世界第1位は、年次報告に基づき『アップル社(Apple)』が勝ち取った。過去第1位を守り続けていた『コカコーラ社(Coca-Cola)』は、『グーグル社(Google)』にも抜かれ、第3位に落ちた。
この価値評価は、オムニコム・グループ(the Omnicom Group)の傘下にあるインターブランド社(Interbrand)という企業認識(corporate identity)とブランドを専門とする顧問会社が、2000年以来『世界のベスト・ブランド(the Best Global Brands)』の資料を集計し報告し評価してきた。評価は、経営状況を含む企業の実績を基準にして考慮される。「これこそ本物の味(It’s the real thing)」というスローガンで第1位を守り続けていたコカコーラ社が第3位に落ちたのは画期的な現象である。一方、今年第1位に浮上したアップル社は、2011年に第8位、昨年は第2位と、飛躍を続けていた。
インターブランド社の最高幹部、ジェツ・フラムプトン(Jez Frampton)は、「アップル社が第一位に浮上したのは、時間の問題だった」と、当然の成り行きとして見ている。「『王様は永遠』と皆さんは考えていたでしょうが、今年はアップル社が王様になりました。同社は斬新的な商品(訳註:アップルはスマートフォンの操作を革新したiPhoneを発表して以来、爆発的な人気を集め世界に広めた。)を創ったばかりでなく、社風も万人を魅了するほどの斬新さを持っています。過去13年間、第1位に君臨していたコカコーラ社を凌いで王座を獲得するだけの実力は充分でした」と語る。
アップル社のブランド価値は983億ドルと見積もられている。昨年と比べて28パーセントの増収である。コカコーラ社も2パーセント上がって792億ドルの収益を上げたが、14年目の王位を確保するには至らなかった。アップル社のみならず、他のハイテク産業が、このブランド評価の10位にひしめいているのは、いずれも市場開発の特技を身に付けていたに違いない。
アップル社に続いて第4位から第2位に浮上したグーグル社(Google)、第5位を守っているマイクロソフト社(Microsoft)、第8位と第9位を分け合っているサムサング社(Samsung)とインテル社(Intel)、などが良い例で特筆に値する。例外として、IBMは、純粋にハイテクの分野でなく、経営サービスの分野に移行したため、第4位に下がった。トップ10位の内6位もがハイテク企業で占められていることは見逃せない。(下の図表を参照)
「アップル社、グーグル社、サムサング社、の製品を見てごらんなさい。彼らが作り出した製品は、文字通り我々の生活習慣を根本的に変えてしまいました」とフラムプトンは結ぶ。10位以外のランクを展望してみると、昨年、第69位だったフェイスブック(Facebook)が第52位に躍進している。一方、スマートフォンでは抜群だったブラックベリー(BlackBerry)は、2年前第56位だったのが第93位に転落してしまった。100位内では最悪の転落ぶりだ。
自動車の分野ではトヨタ自動車が第10位を確保しているが、他の自動車会社からは、GMのシヴォレー(Chevrolet)が第89位に入っているだけに過ぎない。
栄枯盛衰は、いずれの分野でも世の習いであるようだ。
ハイテク産業の繁栄は当分続きそうです。でも焦ってバンドワゴンに飛び乗ると怪我をする恐れがありますから、ご注意。
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