はじめに:東日本大震災以来、3年余り経過したが、福島第一の原発が破壊され洩れ続けている放射能汚染水の処理が未だに解決のメドさえ立っていない。この汚染水が太平洋を渡ってアメリカの西沿岸に到達するとなると、この問題は日本だけの問題ではなくなってきている。
阿部首相は、「汚染水の処理は順調に進んでいる」と大見得を切ってオリンピック招待に成功したが、果たして阿部政権が汚染水処理と真剣に取り組んでいるのかは疑わしい。その実体は背筋が寒くなるようなお粗末なものであるという実体がニューヨーク・タイムズ紙で公表された。阿部政権の真価を問う次第。編集:高橋 経 (日本人名やその言葉が英訳されたものから重訳しているため、原文と多少の差異がある可能性がありますが、ご容赦ください。)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「原発での人的作業は危機に陥っている。我々は膨大な作業を僅かな予算で達成するよう強いられている。まるで消防団員が燃え盛っている火を消すため懸命になっている時に、水を節約しろと言われているようなものだ。」
福島原発、汚染水処理に当たる契約作業員、ナカ・ユキテルの嘆きから:
福島原発、汚染水処理に当たる未経験作業員と不十分な予算
ヒロコ・タブチ報告
3月16日付け、ニューヨーク・タイムズ紙より抜粋
『仕事がない?家がない?行く所がない?食べられない?それなら福島へいらっしゃい』というオンライン広告が出た。
|
チャーター・バスで福島第一に向かう作業員たち。撮影:ケンタロー・タカハシ |
破壊された福島第一原発の復旧処理をする作業のため、僅かな予算で作業員を集めるのは容易ではない。それに作業には放射能の危険すら伴っている。
同原発は東京電力(以下『東電』)の一部だが、同社は複雑で困難な復旧処理の責任を回避し、外部の業者に委ねている。業者はおおむね経営が粗雑で、未経験で訓練もされていない作業員を頭数だけ集め、危険な作業に当たらせている。そうした一方で、東電は予算や人的主力を、柏崎など他の原発の再活動に向けて注いでいる。それは、政府の圧力でもあり、原子力規制委員会の一部委員から批判されてもいる。
こうした東電の経営方針は、福島原発の事故処理を後回しにすることになり、その予算は削られ、単発的に出され、技術者が引き抜かれる、という結果を生んだ。残されたのは、その場しのぎの口入れ屋が集めた特殊技術のない切羽詰まった求職者たちが殆どである。警察とか労働問題の行動派の人達に言わせると、口入れ屋は暴力団との繋がりをもっているとのことだ。
関係者20人以上にインタビューしたところ、機能的でない作業状況が、膨大な汚染水洩れや、環境悪化など他の欠陥を生じさせた主な原因だど見ている。またある状況下では、作業員に危険な仕事をさせている。あるエキスパートは、最悪の場合、作業員の過失で他の放射線の漏洩をひき起こすことを恐れている。
|
ナカ・ユキテル氏 |
元ゼネラル・エレクトリック社(General Electric)の技術者だった東北エンタープライズのナカ・ユキテル氏は、「原発での人的作業は危機に陥っている。我々は膨大な作業を僅かな予算で達成するよう強いられている。まるで消防団員が燃え盛っている火を消すため懸命になっている時に、水を節約しろと言われているようなものだ」(上掲)と嘆く。
それが証拠に、昨年10月のある未明、契約作業員の一人が、原発の浄化システムのホースとヴァルブの交換を命じられた。東電の規制ファイリングによると、作業チームはたった20分の説明指導を上司から受け、システム図もなく、安全工程の段階も踏まず、交換作業を遂行した。最低だったのは、交換の際、古いホースには放射性のセシウム値が高い水が充満していたことを知らなかったことである。その間の経緯はご想像に任せるが、結果として数人が汚染水に手が浸かりパニックとなり、他の二人が救助を求めに走った。
汚染水に冒された作業員たちは、不幸中の幸い、汚染と健康に関する専門家ナカチ・シゲハル氏は、放射線による疾患の恐れはなかった、としながらも、こうした危険は、どんなことがあっても避けるべきだと強調した。
東電は作業員の経験歴についての質問に対する回答は避けた。だが、規制ファイリングによると、上記の汚染水漏れ事件では、契約会社が作業員雇用し同意書に署名したのは事故の僅か1週間前だった。東電はこの法律違反かも知れない契約状況についても回答を避けた。こうした粗雑な契約状況は、一般的に原発の雇用習慣になっているようだ。上記の事実を確認するための質問状に対し、東電から書状で、「当社は雇用慣習について、何も言う立場ではない」という回答を受けた。
(中略)
福島第一の記録によると、受け入れた契約作業員は、東電社員と比べて2倍の放射能を受けている。レイヤー・システムにより東電側の露出度を少なくしているとは、大方の見解でもある。
|
ウエチ・ヨシタツ氏 |
「欠陥について私は何度も警告したけど、誰も耳を貸さなかった」と、ウエチ・ヨシタツ氏は原発施設の安全性について嘆く。彼は子供を4人抱える沖縄出身の父親で、福島で働くことで収入があり家族を養うことができるようになった。しかし彼は、「東電の幹部社員は滅多に福島へ来ないが、上司には欠陥への憂慮を告げ、機会さえあれば東電の幹部にも話した」と言っていた。こうした不満に関して東電側に問い質したが、「プライバシーに抵触するので、作業員個人の問題に触れることはできない」と回答を避けた。
また東電は、危険を伴う不安定な作業条件や報酬は改善すると約束した。だが、未だに原発の近くにある宿舎で食事をしている作業員たちは、その公約には至って懐疑的だ。
40歳代の作業員の一人は、「何段階もの契約会社があり、それぞれがピンハネをしているので私達の報酬は残り少なくなります」とこぼす。彼と他の二人が簡素な食事をしながら、ビールやウイスキーを呑んでいた。ベッドと机だけの小さな部屋に寝泊まりし、その合宿所の周囲は災害の跡地で誰も住んでいない。いずれも解雇されるのを怖れて名前を明かさなかった。
作業員達は夜になるとテレビを観る以外、特にすることもなく、小さなゲーム・センターで遊ぶとか、酒を呑むしかない。習慣性アルコール中毒で酩酊も稀でなく、彼らが二日酔いで作業に出ることもしばしばある。
柏崎原発の4千5百人に対し、約3千人の作業員の頭数を維持させるため、口入れ契約会社は躍起になっている。日雇いや宿無しがたむろしている都会付近では労働関係の行動派に妨げられるので、冒頭に示したようなオンライン求人で人集めをし、低賃金を謳っている。
ある求人広告では、仕事が放射能に関わることにも触れ、『常識があり社交性があること』も条件にしている。
雇用者としては、作業員の前歴が浮浪者だったかどうかは判らないが、多くの人が切羽詰まった生活をしていたことは察している。岩城近くの市役所顧問の一人、ワタナベ・ヒロユキ氏は、「我々は『その日暮らし』の生活をしている人達と応対しているのです」と言う。
一人の作業員は姓名を明かさず、失業して不安定な生活の挙げ句宿無しになってしまった事情を話し、今は仲間の汚染した長靴を洗っていた。他の一人は同様に失業し住居を失い、女友達と仲違いし、今は原発リアクターのひびや割れ目を調べる役に就いている。
職業仲介業者が言うには、その男は高橋建設という会社の下で働いていた。彼の信頼性までは調べていない。彼は、リアクターの異常を調べているが、そのひびとか割れ目によって生じる危険さについては全く教えられていなかった。給料が遅配になり、残業代を拒否されたので彼は離職した。後日、労働基準監督署の助けを得て、遅配の給料は勝ち取った、とのことだ。
その頃には高橋建設は消滅し、空っぽになったオフィスにはビールの空き缶や読み捨てたマンガ本などが散らかっていた。仲介業者は契約会社から仲介料を受け取った。だが、高橋建設の名は同地の事業登録に記載されていなかった。電話を掛けたがベルが鳴るだけで何の応答もなかった。
福島での他の契約会社によると、高橋建設は、日本で最大の組織暴力団、稲川会の地方支部と関連していたようだ。作業員、契約会社、法律家、たちは口を揃えて原発の労働力供給にヤクザが関わっていることを証言している。少なくとも、ある契約会社は、福島での労働力供給で労働基準法に違反した廉で検挙され有罪になった事実があり、これでヤクザの関わり合いを証明した。
「東電は、誰がどうやって福島第一の復旧作業をしているか、全く無関心を装っているようです」とは、前記、一作業員の遅配給料を勝ち取ってくれた労働基準監督署のカツラ・タケシ氏の言である。
政府、大企業、ヤクザ、、、日本人の良心はどこへ消えてしまったのでしょうか????
返信削除将来、福島原発処理の作業員は確実に不足していくと関係者・政府は予想している。ではどうするのか? いま日本政府は、憲法・法律を変えようとしている。一般には、戦争をしやすい国にする(アメリカの一見大義名分のある戦争の支援の為)と受け取る人も多いが、もう一つは、徴兵制を復活し、チェルノブイリの時のように、強制的に、原発事故処理・廃炉作業に人を送り込みたいからだという噂もある。
返信削除必見!
返信削除http://www.dailymotion.com/video/x1hr98h_%E3%83%89%E3%82%A4%E3%83%84zdf-%E3%83%95%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%9E%E3%81%AE%E5%98%98-%E5%85%B6%E3%81%AE%E5%8F%82_news
ちなみに、この手の映像は、ネット上ですぐに削除されてしまうみたいです。出来るだけ早くみてください。
返信削除